sQube製コロイドAFMプローブ
横方向への高い分解能測定を可能にするため、一般的な形状測定ではナノメートルレベルの鋭いAFM探針が好まれます。しかしながら、多くの材料研究や生物学的研究では、より広い接触面積、明確に定義されたAFM探針の形状、そして特定の化学的特性が求められます。
数マイクロメートルサイズの球状AFM探針を備えたAFMプローブは、より広い接触面積に接触力を分散させ、様々な試料の機械的特性を測定するフォーススペクトロスコピー測定を可能にします。また、壊れやすい試料についてもダメージを抑えて測定可能です。コロイドの材質とサイズの幅広い選択肢により、ナノメカニクスAFM測定における様々な物理的、化学的、生物学的な要件に対応します。
フォースマイクロスコピーは、材料の粘弾性や凝着性に関する情報を明らかにすることができます。適切なカンチレバーとコロイドを選択すれば、AFMによるインデンテーションは十分に高い感度を実現でき、マイクロおよびナノスケールにおける試料の力学特性を分析する手段となります。最適なプローブを選択するには、一般的に試料の機械的特性に関する予備知識(例えば参考文献や過去のマクロスケール測定、または十分な根拠のある仮定など)が最初の判断材料となります。経験的には、圧子部分の半径Rと、押し込み深さdの比が10を超えてはならないことを意味します。
通常、試料への強い凝着がない場合、ヘルツ接触理論を用いて分析が行われます。球状圧子の場合は、圧子の半径R、印加力F、圧痕の深さdの関係式は以下の通りになります。
この数式では、E*は見かけの弾性係数とされており、E(弾性係数)とv(ポアソン比)(非圧縮性材料の場合は1/2と仮定できる)によって与えられる機械的特性です。
当社が提供するコロイド AFM プローブは、サイズばらつきが小さく、多様な材料のコロイド、そしてシリコンや窒化シリコン、クォーツライクマテリアルで製造された AFM カンチレバーを組み合わせた製品です。市販 AFM/SPMで使用できる持つ高い汎用性を持ちます。
様々な材料、サイズのコロイドは、特定の化学的、物理的、または生物学的要件に合わせてお選びいただけます。当社が提供する商品は、研究者の皆様からの特に多くいただいた要望に基づき、長年にわたり改良を続けてきました。現在sQube®では、シリカ、BSG、金、ポリスチレン、プレキシガラス製のコロイドを標準品として提供しており、直径は2~20µmです。sQube®では、特注コロイドの接着についてもお問い合わせをお待ちしております。
注意:金ナノコロイドは、最先端の技術で製作されたものですが、理想的な表面平滑性と理想的な球形を保証するものではございません。ある程度のナノレベルの粗さや小さな変形は、合成プロセスの性質上避けることができませんのでご了承ください。
いずれの材質のコロイドも表面修飾または表面処理されていません。
sQube のご提供しているコロイドのサイズよりも小さなものをお探しのお客様は、EBD 高密度カーボンで作成された 0.02 - 2µm 範囲のより小さなコロイドティップをご検討ください。
コロイドプローブに使用されているAFMカンチレバーは、シリコンや窒化シリコンまたはクォーツライクマテリアル製で、バネ定数 0.01-42N/m、長さ100-450µm.
NANOSENSORS™製 TL-NCHティップレスAFMカンチレバーはシリコン製で、短冊形の形状をしています。ばね定数の典型値は42 N/m、長さは125µmです。静電気を逃がすため高濃度ドープされており、一般的なほとんどの溶媒に対して化学的に不活性です。カンチレバーの背面とサンプル側のどちらもコーティングされていません。
NANOSENSORS™製 TL-FM ティップレスAFMカンチレバーはシリコン製で、短冊形の形状をしています。ばね定数の典型値は0.2 N/m、長さは450µmです。静電気の影響を抑えるために高濃度ドーピングされており、一般的なほとんどの溶媒に対して化学的に不活性です。カンチレバーの背面とサンプル側のどちらもコーティングされていません。
NANOSENSORS™製 TL-CONT ティップレスAFMカンチレバーはシリコン製で、短冊形の形状をしています。ばね定数の典型値は0.2 N/m、長さは450µmです。静電気の影響を抑えるために高濃度ドーピングされており、一般的なほとんどの溶媒に対して化学的に不活性です。カンチレバーの背面とサンプル側のどちらもコーティングされていません。
NANOSENSORS™製 SD-qp-CONT-TL ティップレスAFMカンチレバーは、NANOSENSORS™特別開発品リスト の中にある商品です。クォーツライクマテリアル(水晶様)で製造されており、短冊形の形状をしています。ばね定数の典型値は0.1 N/m、長さは125µmです。AFMカンチレバー背面の先端には、部分的に反射金コーティングが施されています。このコーティングは、特に液体環境下での測定において、カンチレバーの曲がりやドリフトを低減するために施されております。
NANOSENSORS™製 SD-qp-SCONT-TL ティップレスAFMカンチレバーは、NANOSENSORS™特別開発品リスト の中にある商品です。クォーツライクマテリアルで製造されており、短冊形の形状をしています。ばね定数の典型値は0.01 N/m、長さは125µmです。 AFMカンチレバー背面の先端には、部分的に反射金コーティングが施されています。このコーティングは、特に液体環境下での測定において、カンチレバーの曲がりやドリフトを低減するために施されております。
NanoWorld®製 PNP-TR-TL-Au ティップレス AFM プローブは、窒化シリコン製で、異なる2種類の三角形をしたティップレスカンチレバーを備えています。短い AFM カンチレバーのばね定数の公称値は 0.32 N/m、長さは 100 µm です。長い AFM カンチレバーのばね定数公称値は 0.08 N/m、長さは 200 µm です。AFM カンチレバーは全体に金コーティングが施され、ホルダーチップはパイレックス製です。2 つの AFM カンチレバーのうちの1本に、お客様が選択されたコロイドが接着されます。
注:PNP-TR-TL-Au カンチレバーを使用したコロイド AFM プローブは、周囲の温度と湿度に大きく依存し、複雑な挙動を示します。この挙動がカンチレバーの曲げやねじれにつながることがあります。 このため弊社では、非常に柔らかな カンチレバーが必要な場合や、液体環境での使用が必要なアプリケーションにおいては、SD-qp-CONT-TL または SD-qp-SCONT-TL を使用したコロイドプローブの使用をお勧めします。 sQube® は、PNPベースのコロイドプローブの動作や機能を保証致しかねますのでご了承下さい。
PNP-TR-TL-Au を除く上記すべての AFM カンチレバーのホルダー チップには、背面にアライメント グルーブが備わっています。NANOSENSORS™ 製アライメント チップと一緒に使用すると、AFM カンチレバーを正確にアライメントできます。
特注コロイドのカンチレバーへの取り付け例
sQubeのウェブサイトででは、カンチレバーの種類、コロイドの材質やサイズなどの詳細が載ったコロイドAFMプローブのカタログをご提供しております。さらに選定の際に大変便利な3ステップ選択ツールもご用意しています。
sQubeスフィアAFMティップおよびコロイドAFMプローブのカタログカテゴリーでは、すべてのsQubeコロイドプローブだけでなく、nanotools製EBDスフィア探針も掲載しております。
またsQube の Web サイトには、コロイド プローブの応用例を示す査読済みの論文のリストを掲載しています。