自己検知 & 自己励振AFMプローブ

AFM装置開発の方向性のひとつに非光学センシングシステムを実装するというチャレンジがあります。レーザーを使わないAFMができると、これまでとは異なった条件や環境下でAFMを使用することができるようになり、より多くの新しい機会が生まれてます。

AFMの歴史において、非光学的センシングの時代を切り開いた最初のAFMプローブは、ピエゾ抵抗を備えたAFMカンチレバーでした。その登場以降これまでに、容量型、圧電型、MOSトランジスタ型など、さまざまな検出原理を備えた多くのAFMプローブが公開されて来ました。

自己検知・自己励振型AFMプローブに分類されるプローブのひとつに、時計用に製造された音叉型水晶振動子(クォーツ チューニングフォーク)を利用したタイプがあります。音叉型水晶振動子は高いQ値をもった機械振動子であり、非常に安定した物理的振動を示します。大量生産されている電子部品なので入手が容易なうえ、サイズが数mmであることも相まって、ダイナミックモードAFMやACモードAFMに用いる振動型センサーとして応用する例が数多く報告されています。

この種のAFMプローブは、光学系を必要としない自己検知機能、外部に振動用ピエゾアクチュエータを使用する必要のない自己励振機能、水晶振動子固有の低消費電力などの特長を備えており、超高真空中、液中、極低温などの環境下で使用するのに最適です。

現在、音叉型水晶振動子は走査型プローブ顕微鏡(SPM)の様々なアプリケーションで利用されていることが報告されています。初めて音叉型水晶振動子が応用されたのは走査型近接場音響顕微鏡 (scanning near-field acoustic microscopy) における「距離」センサーとしてでした。その後、走査型近接場光学顕微鏡(SNOM)において光学近接場プローブと試料表面間の距離を制御するために使用されました。

音叉型水晶振動子を表面形状等のAFMイメージングに利用する最も一般的な方法は、2つのフォークのうちの1つを「カンチレバー」として使用する使い方です。この方法では、両方のフォークが自由に振動するとQ値が高すぎる場合があるため、片方のフォークを基板に完全に固定しQ値を下げます。サンプルを走査する探針はフォークの端に接着される場合が普通です。

一般的に音叉型水晶振動子のフォークはシリコンのAFMカンチレバーに比べて非常に硬く、ばね定数はおよそ数kN/mです。この硬いばねは、サブナノメートル振幅の安定した探針振動を可能にします。例えば、高真空中で原子分解能が必要な場合は、振幅が0.3〜1 nmの安定した振動が望まれます。しかしながら、このAFMプローブを大気環境での表面形状AFMイメージングに使用する場合、振幅が小さすぎ、カンチレバーの高い剛性も相まって、探針をサンプル表面でクラッシュする可能性があります。音叉型水晶振動子を標準AFMアプリケーションに用いるにはいくつかの工夫が必要となります。

サンプル走査用AFM探針は、音叉型水晶振動子をAFMに応用する上で重要なポイントのひとつです。これは AFM画像の横方向の解像度がAFM探針の品質によって決まることがその理由です。ごく初期には、フォークのエッジを走査探針として使用していました。しかしすぐに、電気化学によって鋭利にエッチングされたW、Ni、またはPt / Irワイヤーをフォークに接着して探針とする方法が用いられるようになりました。同様に、鋭いAFM探針を備えた標準的なシリコンAFMカンチレバーをフォークに直接接着する方法もよく使われるようになりました。 SNOM構成では、音叉型水晶振動子に取り付ける光ファイバーの先端をテーパー状にし、探針として用いるのが一般になりました。さらに、ダイヤモンドやマルチウォールカーボンナノチューブ等の利用も報告されています。

NANOSENSORS™ Akiyama-Probe(A-Probeとも呼ばれています)は、微細加工されたシリコンAFMカンチレバーと、音叉型水晶振動子を組み合わせた自己検知・自己励振型AFMプローブです。このAFMプローブの大きな特長は、1つのAFMプローブで、音叉型水晶振動子の非常に安定した振動とシリコンAFMカンチレバーの適度なばね定数の両方の利点を備えている点にあります。 Akiyama-Probeは、ハイエンドのシャープなシリコンAFM探針を備えており、さまざまな特性を持つサンプルで従来の光学検出式AFMカンチレバーシステムと同等のイメージング性能を示します。Akiyama-Probeは、光学的検出システムも振動用ピエゾアクチュエータも必要とせず、サンプルの上の小さなスペースしか必要としない便利なAFMプローブです。

Akiyama-Probeの推奨動作モードは、周波数変調(FM)検出を備えたダイナミックモード(ACモード)です。このモードでは、プローブの音叉型水晶振動子が共振周波数で自己励振しています。水晶振動子を利用したマイクロバランスのように、振動子の共振周波数と振幅は外部からの力によって変化します。Akiyama-Probeの場合、音叉型水晶振動子と共に振動しているシリコン探針が試料と干渉することで、プローブの共振周波数が変化し、それを音叉型水晶振動子を通して検出して使います。試料イメージング中は、フェーズロックループ(PLL)によって共振周波数が追跡され、AFMのフィードバックループでプローブ探針と試料間の距離が設定値に保たれます。

Akiyama-Probeの利点を活用するには適切なセットアップが必要です。主に、プローブの自励発振を行うための電気回路、および、周波数を測定するためのフェーズロックループ(PLL)を必要とします。時間と労力を節約するために市販の機器を選択することをお勧めします。完成したプロダクトやコンポーネントを使用することで、一からセットアップを構築するよりも短時間で最高のパフォーマンスを得ることができます。市販されているソリューションの代わりに、独自のセットアップを構築することもできます。 多くの具体例と情報がhttps://www.akiyamaprobe.comで入手できます。 NanoAndMoreジャパンでは、音叉型水晶振動子やAkiyama-Probe用のセットアップとしてチューニングフォークセンサーコントローラを提供しています。これは、音叉型水晶振動子センサーの自励発振を制御し、その周波数を測定するための電子デバイスです。 このコントローラは、独自のセットアップを構築する場合に役立ちます。 https://www.nanoandmore.jp/tuning-fork-sensor-controller

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