スタンダード(標準)な探針 vs 反転した探針
当社がご提供しているシリコン製AFMプローブの多くが、ピラミッド型の探針を有しており、主に標準タイプと反転タイプの2種類に分類できます。
どちらの場合も、探針のピラミッドはカンチレバーの軸に沿って見るとほぼ対称です。しかし側面から見てみると、ピラミッドのエッジはカンチレバー面の法線に対して異なった傾斜をしています。
標準(非反転)AFM探針の前側のエッジは、後ろのエッジよりも傾斜が低くなっています。
反転した探針では、前側のエッジの方が後ろのエッジよりも傾斜が急です。
標準の探針をもったプローブを、業界標準の10~13⁰の傾斜で原子間力顕微鏡(AFM)のヘッドに取り付けた場合、探針のピラミッドの後端はほぼ垂直になり、前端は鉛直方向に対して35~45⁰の角度になります。反転探針ををAFMヘッドに取り付けた場合、探針のピラミッドの前側のエッジと後ろのエッジはともに鉛直方向に対し20~25⁰の角度になります。
標準探針で、急峻な側壁の構造をもった高さのあるサンプルを測定すると、後方の側壁は正確に可視化されますが、前方の側壁は実際の急峻さよりもかなり緩い傾斜として測定されます。一方、探針が反転したカンチレバーでは、すべての方向で側壁が均等で、かつ同じ程度に歪んだ測定結果が得られ、構造の表現がより対称的です。
カンチレバー探針の選択は、サンプルと測定の目的によって異なります。サンプルの特定の側壁角度をより正確に測定する必要がある場合は、標準の探針が適しています。また、全体の側壁の歪みが均等で、よりバランスの取れた画像が必要な場合は、反転した探針をご使用ください。
また、表面構造が比較的滑らかなサンプルでは、どちらのタイプの探針を使用しても、同等に測定することができます。
イメージがうまくとれないなど、探針に関連した画像アーティファクトの詳細については、アプリケーションノートAFMカンチレバーの探針形状とその測定への影響をご覧ください。
NanoWorldのすべてのPointprobe® AFMプローブには、標準探針と反転探針を取り揃えています。MikroMaschおよびBudgetSensorsのすべてのシリコン製AFMプローブは、反転した探針です。また、NANOSENSORS™ PointProbe® Plusシリーズでは、標準探針と反転探針を取り扱っています。AFM探針ガイドでは、標準(非反転)AFM探針と反転AFM探針の豊富なラインナップをご覧いただけます。
標準AFM探針も反転AFM探針、高アスペクト比トレンチ構造のサンプルの測定には適していません。このようなサンプルの測定のために特別に設計された、高アスペクト比(HAR)AFMプローブ をお使いください。ます。